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【ナイロン・高強度】PolyMaker社ファイバー入りナイロン造形レポート

2021.04.27

高品質・高安定性で定評のあるPolymakerから3種類のファイバー入りナイロンフィラメントが登場!

ファイバー入りナイロンフィラメントは強度と耐熱性の高さから工業機械の治具やパーツの材料として注目されているエンジニアリングフィラメントです。

今回、フィラメントメーカーとして信頼性の高いPolymaker社からそれぞれ異なる3種類のファイバー入りナイロンフィラメントがラインナップに追加されました。

・PolyMide™ PA6-GF

PA6をベースにグラスファイバーを含有したフィラメント
グラスファイバーによる耐衝撃強度と剛性に加えてZ軸の層間接着性が高く、表面仕上がりが滑らかなのが特徴です。
また低温の設備環境でも安定した造形が可能になっています。

・PolyMide™ PA6-CF

PA6をベースにカーボンファイバーを含有したフィラメント
優れた剛性と強度を持ち215℃の熱変形温度という耐熱性とESD(静電気放電)にも対応しているため電子機器に関する部品の造形にも適しています。

・ PolyMide™ PA12-CF

PA12をベースにカーボンファイバーを含有したフィラメント
PA12は一般的なPA6/66のナイロングレードと比べて吸湿しにくいのが特徴で、保管時以外はPolyBox無しでの造形も可能です。
表面仕上がりも非常に滑らかで、造形時の糸引きも少ないです。

PA6-CFとPA6-GFは500g巻と2000g巻の二種類からリールを選択でき、どちらもPolyBox内に収納しながら造形が可能です。

2㎏の大型リールを引き込むために3Dプリンター本体のギアへの負荷は大きくなりますが
Raise3D Pro2のデュアルギア構造とPolyBox内臓の回転台により安定した吐出が可能です。

・ 3種類のフィラメントを比較

今回は強度が求められるクランプを横幅約200㎜のサイズで造形してみました。

設定値はPolymakerの推奨値がBASF社製のPAHT CF15を造形した時と似ていた為、同条件で造形します。

・ノズル:0.6㎜タングステン強化ノズル
・ノズル温度:280℃
・プラットフォーム温度:75℃
・造形速度:約30㎜/s
・充填率:37%
・シェル数:4層

3種類ともファイバー入りフィラメントで通常の真鍮ノズルでは摩耗による劣化が発生してしまう為、摩耗に強いタングステン強化ノズルに交換して造形を行っていきます。

・ PolyMide™ PA6-GF

グラスファイバー入りのPA6-GFは粘土の様なしっとりしたグレーの色合いです。
同じくファイバー入りのBASF社製PAHT CF15と比べると反りが強く、スティックのり無しでは定着が安定しなかったため、のりとラフトを使用して造形です。

造形完了直後の仕上がりです

角やコの字の内側表面にはバリの様な糸引きができました。
この糸引きはPAHT CF15と同様にニッパーやスクレーパーなどで綺麗に落とせます。

サポート無しでもオーバーハングは殆ど垂れがなく綺麗に仕上がっています。

表側の表面はPA6-CFよりも滑らかで良い仕上がりです。

・ PolyMide™ PA6-CF

PA6-CFはGFに比べて糸引きが顕著に出ており類似品のBASF社製PAHT CF15と似ている印象ですが、こちらもPAHT CF15に比べてPA6 GF同様に反りが発生しやすかった為、のり付けが必要でした。

カーボンナイロンではよく見られる糸引きも発生しています。
一見すると除去が難しい糸引きな印象ですが、

スクレーパーで軽く当てていくと殆ど気にならない程には除去ができました。

表面も積層痕が目立たない良い仕上がりです。

左:PolyMide™ PA6-CF  右:Ultrafuse PAHT CF15

PolymakerとBASFで比較をしましたが、写真で見ても通り殆ど差は無い印象です。
肌触りはPolymaker製の方がファイバーのザラザラした感触が強い印象です。

・ PolyMide™ PA12-CF

PA6-CFとPA6-GFに比べて反りが無い印象ですが、プリントベッドへの定着力はさほど高くは無かったため、追加でラフトの設定をしました。
のり付けは不要ですが、安定性を更に求めるのであればお勧めします。

糸引きも他のフィラメントに比べて抑えられています。

糸引きが僅かに残ってはいますが、他のカーボンフィラメントと比較すると糸引きは少なく感じます。

オーバーハング部分は他と比べて若干垂れがある印象です。
PA12-CFはノズル温度が260℃でも造形可能とのことなので280℃では溶けすぎて垂れ落ちてしまった可能性があります。

BASF社製のPET CF15程でありませんが、Polymaker製の他2種類と比較すると表面の滑らかさも良い印象です。

左:PolyMide™ PA6-CF  右:PolyMide™ PA12-CF

画像では判別が難しいですが、PA6-CFがサンドペーパーの様な肌触りに対してPA12-CFはザラザラ感が殆ど無く滑らかです。

シェル数4層、充填率37%で重量感のある頑丈なクランプが出来あがりました。
後から造形したクランプノブとエンドプロテクターも3種類とも難なく組み込めました。

・ 評価

・ PA6-GF
・PA6-CFに比べてツヤと表面が滑らか
・ノズル詰まり無し(0.6㎜タングステンノズル使用時)
・糸引きによるバリは発生する(除去可能)
・反りの影響が強いのでステック糊必須
・2㎏巻きもあるので単価を抑えられる

・ PA6-CF
・PAHT-CF15に比べて表面がファイバーのざらつきがある
・ノズル詰まり無し(0.6㎜タングステンノズル使用時)
・糸引きによるバリは発生する(除去可能)
・反りの影響が強いのでステック糊必須
・2㎏巻きもあるので単価を抑えられる

・ PA12-CF
・PA6-GFと同等に表面が滑らか
・ノズル詰まり無し(0.6㎜タングステンノズル使用時)
・反りがPA6に比べて少ない
・ビルドプレートとの接着性はそこまで強くないので直付け造形は形状に左右される
・PA12は低吸湿ナイロンな為、ドライボックスが不要
・500g巻きのみでグラム単価は高い

 

今回紹介したPolymakerファイバーシリーズをRaise3Dで使用する際のテンプレートはOFPのページにてダウンロードが可能です。
Raise3D OFP

物性値に関するTDSや安全性に関するSDSはPolymakerまたはRaise3DのOFPページにて各種ダウンロードが可能です。
Polymaker
Raise3D OFP

PAHT CF15とPET CF15などのフィラメント情報は、BASF社製フィラメントホームページでご確認できます。

BASF社製 Ultrafuseフィラメント(日本3Dプリンター運営)