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【静電気対策材料】CLARIANT社-ESD-PETG造形レポート

2020.04.19

・CLARIANT PET-G(ESD)フィラメント

  • メーカー紹介

CLARIANTはスイスに本社を置く総合化学メーカーになります。

日本では顔料や添加剤、樹脂の着色料を扱っていることで有名です。

3Dプリンター用フィラメントしては今回紹介するESD対策仕様や難燃性のフィラメントなど機能性のあるフィラメントを展開しています。

  • 特徴

今回紹介するPET-G (ESD)フィラメントはPET-Gである強化PET素材にカーボンナノチューブを配合したことで静電気拡散性を獲得したフィラメントになります。

ESD「Electro-Static Discharge」は電子機器に悪影響を与える静電気を指し、このフィラメントはその静電気を発散させる機能を持つESD防止仕様の物になります。

帯電させない性質から導電フィラメントとも呼ばれ、導電素材と絶縁素材のおよそ中間に位置する樹脂になります。

昨今のスマートフォンの高性能化や開発・生産の増加により、ESD対策は重要視されています。

国際電気標準化会議(IEC:International Electrotechnical Comission) 61350-5-1によって、
表面抵抗値(Surface Resistance:RS)が分類されています。

静電気導電性材料  1× 10^2 ≦Rs< 1× 10^5Ω
静電気拡散性材料  1× 10^5 ≦Rs< 1× 10^11Ω
静電気絶縁性材料  1× 10^11 ≦Rs

PET-G表面抵抗値

PET-Gの表面抵抗値は5 x 10^7 – 6 x 10^10のため、静電気拡散性材料に当てはまると分かりました。

出典:【表面抵抗値】静電気対策に最適な抵抗値に関して

導電性ではあるもののランプなどに使う銅線の代わりとしては抵抗値の関係から電気は点かず実用性は見られませんでした。

あくまで静電気を逃がすことに適した導電性を持っているようです。

主に電子基盤など精密機器を扱う現場で重宝され、その他に電子機器を扱うための工具類などにも使用されます。

 

  • 造形準備

使用機種:Raise3D Pro2Plus
使用フィラメント
メーカー名:CLARIANT
フィラメント名:PET-G ESD

  • メーカー推奨設定

・ノズル温度:240~260℃
・造形スピード:30~60㎜/s
・ビルドプレート温度:70~80℃
・ビルドプレート状態:のり付け
・ノズル径:0.4㎜以上(通常ノズルで可能)
・積層ピッチ0.1㎜以上
・ファン速度:50~100%

設定値はideaMakerにデフォルトで存在するPETGのテンプレートをベースに作っていきます。

変更する箇所はベッド温度のみでプラットフォームの温度を60から80℃に変更します。

他はPETGテンプレートそのままの設定です。

  • サンプルの選定

ESD対策仕様の材料は主に電子機器を扱う道具に使用されることから今回はトレーやボックスを作っていきたいと思います。

100×86.5㎜の幅広な造形物ですので、のりを塗ってから造形してみます。

造形時間は3時間弱で積層ピッチは0.1㎜です。

  • 造形開始

テスト一回目から問題なく好調です。

造形安定性の高いフィラメントなのが伺えますね。

反りが非常に強いという印象も見受けられません。

完成しました!

艶のある光沢感があり綺麗です!

黒のPLAに近い印象ですね。

若干、壁側の造形にセクション移動時のバリの痕が出ていますがこの辺りはリトラクト量の変更で改善できると思います。

ラフトを剥がした面も綺麗に素手で簡単に剥がせました。

試しに他の造形物で通電するか9Vの乾電池を使用して2.5V 0.5Aの豆電球を使用しましたが豆電球を光らせる程の電気を通すことはできませんでした。

さらに微弱な電圧で稼働するものであれば確認できるかもしれません。

初めにも述べましたが、あくまで静電気を拡散させる目的とした導電性になるようです。

 

実用としては電子基盤を保管するケースやワンオフで機械の装置にアースと併用して組み込むなどの使い方に期待できそうです。