技術レポート

造形物の継ぎ目の補い方(スカーフジョイント実践)

FDM(FFF)方式の造形物において、層の開始点に生じる継ぎ目は避けて通れないものです。3Dモデルの段階では存在しなかった継ぎ目は見た目が良くないばかりでなく、場合によっては強度などにも影響が生じます。

 以下の画像はRaise3D Pro3Raise3D PETG ESD材料で造形した造形物です。層の開始点に大きな溝が生じているのがわかるかと思います。

下記画像は同モデルのスライスです。白線で示される層の開始点と、オレンジ線の終了点が重なっていて、その部分が溝になっています。材料や造形条件によって、溝ではなく、逆に凸形状であったり、ひげ状にフィラメントが突き出たりする場合もあります。

今回、対策としてideamaker上の機能である【スカーフジョイント】を用いることで解決を図りました。「造形テンプレート→詳細設定→レイヤー」から確認できる設定です。

3Dプリンタにおけるスカーフジョイントとは、層の開始点を下げ、フィラメントを重ねるように吐出することで、継ぎ目を目立たなくさせる手法です。以下の画像がスカーフジョイント適用時と適用なしのスライス画像ですが、フィラメントの巻き方の違いがわかるかと思います。

スカーフジョイント適用時


スカーフジョイント適用なし

以下の画像がスカーフジョイントの有無の造形物です。溝を補うことに成功しています。層が終わる際の痕跡まで消せるわけではありませんが、スカーフジョイントなしと比べると、違いは明らかです。

スカーフジョイント適用なしスカーフジョイント適用時

スカーフジョイント適用モデルのスライス画像を見ると、白線で示される層の出発点と、オレンジ線の層の終了点が、上図と一致するのがわかります。

以上のように、継ぎ目を修正する手段として、スカーフジョイント機能は有効です。

ideamakerに搭載された機能をうまく利用し、より良い造形物を造っていきましょう。




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