プリントベッドから造形物を剥がしやすくする方法
25%の場合
3Dプリントで大型の形状を造形した時、プリントベッド(ビルドサーフェス)から造形物が剥がれなくて苦労したことはありませんか?
今回はプリントベッドから造形物を剥がしやすくする道具やideaMakerの設定を紹介していきます。
スクレーパー
Raise3D本体にも付属している造形物をプリントベッドから剥がす為のスクレーパーですが、用途に応じて便利なスクレーパーがあります。
大判スクレーパー
ステンレス製の大判スクレーパーは大型から小型の造形物まで幅広く使えるオールマイティなスクレーパーで私も日々の業務で愛用しています。
注目なのはスクレーパーの金属部分に長さと弾力があり、大型の造形物を剥がす際に造形物に角度をつけながらスクレーパーの刃先を奥まで通しやすいのが特徴です。
また刃先は丸みのある形状の為、鋭利なスクレーパーに比べて誤ってプリントベッド上に貼付けているビルドサーフェスを裂いてしまうリスクを抑えられます。
持ち手のグリップエンド部分に金属加工がされているスクレーパーはハンマーと併用して簡単に刃先を通すことが出来るのでお勧めです。しかしハンマーで無理に力を加えるとスクレーパーでビルドサーフェスを傷つけてしまう可能性もある為、注意が必要です。
OLFAスクレーパー
カッターナイフで有名なOLFAの小型のスクレーパーです。
小さい造形物やプリントベッド上に薄くプリントした造形物やゴミなどを剥がす際に便利です。
特に素手では取れないプリントベッド上に小さく固着した樹脂を削ぎ落す際にも活躍します。
しかし、刃先が鋭いので無理に力を加えて使用するとケガをしてしまう他、ビルドサーフェスを裂いてしまうことがある為、慎重に扱う必要があります。
IPA・エタノールなどのアルコール類
ABSやABS Fusion+を使用した造形物を剥がす際に使用します。
剥離性やコストパフォーマンスではIPAの方が高い印象ですが吸引すると人体に有害な為、気になる方はエタノール系のアルコールも有効です。
造形物とプリントベッドの間に適量流し込み、浸透させるとスクレーパーなどで簡単に剥がすことができるようになります。
IPAやエタノールは引火性の為、換気の良い場所で火気に注意して使用してください。
Magigoo/スティックのり
プリントベッドに塗布することで造形物が剥がしやすくなります。
本来はプリントベッドから造形物が反りによって剥がれるのを抑える為の道具ですが、ABSやPC、TPUフィラメントはビルドサーフェスへの定着が強く剥がれないことが多い為、サーフェスの表面にコーティングすることである程度の定着力を維持したまま造形物が剥がしやすくなる効果が見込めます。
Magigooは3Dプリント用に開発された専用のりで液体はサラサラで塗布しやすく、造形中はプリントベッドの熱に反応して定着力が上がり、造形後にプリントベッドが冷めた状態になると剥がしやすくなる特徴があります。
スティックのりは市販で手に入りやすいアイテムです。
種類によって効果は様々ですが、トンボ製のシワなしPITはムラができにくく綺麗に塗布が出来ます。
ideaMakerの設定で造形物を剥がしやすくする設定
ideaMaker上で造形物の剥がしやすさを向上させるにはラフトの設定を変更していきます。「スライスをはじめる」→「編集」→「詳細設定」→「プラットフォームの追加」を開きます。
画面左下にある「1層目の充填率」を30%から25%の間で調整します。
30%の場合
25%の場合
プラットフォームとラフトの一層目に接する部分の樹脂面積を少なくする事で定着力を抑えることが出来ます。
※25%よりも下げてしまうとラフトが正常に造形されない場合がある為、注意してください。