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(表面仕上げ)積層痕を消し滑らかな仕上がりと透明感を再現できるフィラメント

2020.12.01

FDM方式の3Dプリンターは樹脂を塗り重ねていく方式である故に積層痕による表面の段差が気になります。
PolymakerのPolySmoothはPLAに近い造形安定性を持ち、出来上がった造形物を噴霧エアロゾル研磨で表面を滑らかにすることが可能です。

PolySmoothは脱脂溶剤としてお馴染みのIPA(イソプロピルアルコール)を専用の表面仕上げ加工機(Polysher)を使用し表面層を溶解させる方法で研磨していきます。

・造形安定性
・積層痕の除去
・ツヤと光沢のある仕上がり
・従来のFDMではできなかった透明度を実現
・12色の豊富なカラーバリエーション

今回は人型の造形で表面仕上がりと、クリアフィラメントによる透明度に注目していきたいと思います。

・ 造形

ベースはRaise純正PLAの標準テンプレートにノズル温度を5~10℃程上げて造形してみました。
表面の処理で造形物に穴が開く可能性もあるのでシェルも2層から4層にしています。
今回は反りなど特に問題なく造形できましたが、他の造形をした際にはPLAに比べて多少は反りやすく造形サイズが大きい場合は予めステック糊を塗布しておくことをお勧めします。

完成しました!(鼻の部分はサポート材になります)

・Polysherで研磨

IPAをPolysherに補充して造形物をセット、フロントのダイヤルを15分設定で3クリック(1クリック5分)にして後処理を開始します。

ミスト状になったIPAが充満していきます。
機械は密閉されてアルコールの臭いが漏れることはありませんがIPAは引火性の為、火気の取り扱いは注意してください。
研磨終了後もミストは残っている為、機械側が直ぐに開けられないようにロックが掛かります。

・表面仕上がり検証
Polysherで加工する前と後の比較になります

左:造形後 左:Polysherによる加工後

・後処理前

特に鼻や口元などの細かい糸引きが目立ちます

・後処理後

顔全体の表面はうっすらと開始点のバリや積層痕が見えますが、鼻や口元の積層が殆ど目立たなくなっているのが分かります。

・後処理前

積層式特有の等高線の様な痕がくっきり出ています

・後処理後

噴出した溶剤のミストが上から降りかかる為、顔の部分よりも十分に溶剤が浸透し積層痕が殆どなくなりました。

Polysherをかけた直後は造形物の表面がIPAによって薄く溶けたPolysmoothが残っている為、なるべく造形物には触れずに十分に乾燥するまで待つ必要があります。

・Polysmoothクリアで高透明な造形物を出力
Polysmoothは豊富なカラーバリエーションを揃えており、中でもクリアはPolysher処理をすることでどのFDM用フィラメントよりも透明度の高い造形物を出力することができます。

※左:後処理後・右:後処理前

0.4㎜ノズルでシェル1層の容器を造形しました。
厚みはノズル径に準じることから0.4㎜の薄さになり形状に歪みが生じてしまいましたがPETなど他の材料でも同様の歪みは出てしまいます。
しかし、ノズル径を太くすることで造形後の形状安定性を上げることが可能です。

・後処理前(「PolySmooth」の文字が全く見えない)

・後処理後(「PolySmooth」の文字がよく見える)

画像だけでは透明感がまだまだ足りない印象ですが、実際に見てみるとそのクリアさを実感できると思います。

・BASF製 ultrafuse PET

透過性の高さで以前紹介しましたPETでも同じデータで造形してみました。
積層のくすみなどを見てもPolysmoothの透明度の高さが伺えますね。

・フィラメントの注意点
PolysmoothはPolysherを用いた後処理をすることで鮮やかな表面仕上がりにすることが可能なフィラメントですが、強度面などに関しては他のフィラメントに比べて脆い性質があります。
その為、用途としては展示用の模型や装飾品に向いていると思います。
また後処理加工に引火性のあるIPAを使用する為、火気などの取り扱いに注意しなければなりません。