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【ESD・PETG】ESD対策フィラメントがRaise3D純正フィラメントとして再登場!

2022.02.01

3Dプリンターフィラメント

Raise3D純正PETG-ESDフィラメントは静電気放電(ESD)から電子機器類などの保護を目的とした用途に適した特殊なフィラメントです。

造形物

弊社では過去に販売していたCLARIANT製のPETG-ESD/PLA-ESDがメーカー生産終了でしばらく品薄の状態でしたがこの度、Raise3D純正フィラメントとしてPETG-ESDが再登場しました。

PETG-ESDは過去の造形レポートでも紹介しました強化PET素材であるPETGに導電性のあるカーボンナノチューブを配合することでメーカー公表値の表面抵抗(105 ~1012Ω/sq)とASTM規格の蓄積静電気の拡散性を持っており、ゴミやホコリの付着や電子機器の不具合を防止できますが、銅線の代わりなど通電用途としては抵抗値が高すぎるため使用に適していません。

表面抵抗値
出典:【表面抵抗値】静電気対策に最適な抵抗値に関して

この様に静電気にのみ特化した樹脂は半導体や電子部品といった産業機器を取り扱う事業に重宝されます。

造形テスト

電子機器関係なのでSDカードケースを今回は造形していきます。
使用機種:Raise3D Pro3
使用フィラメント
メーカー名:Raise3D
フィラメント名:PETG-ESD

メーカー推奨設定
・ノズル温度:260~280℃
・造形スピード:30~60㎜/s
・ビルドプレート温度: 80℃
・ビルドプレート状態:普通
・ノズル径:0.4㎜以上(通常ノズルで可能)
・積層ピッチ0.1㎜以上
・フィラメント径1.75㎜
・カラー:ブラック

今回の造形は既存のRaise純正PETGのテンプレートをベースにPETG-ESDのメーカー推奨値で調整を行いました。
ノズル温度が10~20℃程上がっている以外、特に設定値は変更していません。

仕上がりについて

造形物

表面の仕上がりはRaise3D純正PETGよりも綺麗な印象です。
設定値の微調整もほとんど行わずにこの仕上がりですので非常に安定した樹脂であることが伺えます。

Raise3D純正PETGは糸引きが強く、造形後の表面にムラがあるような印象でしたがPETG-ESDはなく鮮やかな光沢で良い仕上がりです。

ラフトとの相性は不向き

PETG-ESDPETGと同様にラフトと造形物同士が張り付きやすく、剥がす時は力を加えたところからボロボロと割れてしまうなど、造形に適していません。
その為、ラフトを使用しないプリントベッドへ直接の造形が望ましいです。
プリントベッドに直接造形した造形物を外す際にはRaise3D Pro2シリーズ(販売終了)の場合、鋭利なスクレーパーを使用して造形物の角から刃先を通して慎重に剥がしていく必要がありますが、Raise3D E2や新機種のPro3はフレキシブルプレートを採用しているのでプリントベッドへの直接造形でも簡単に剥がすことができます。

PETG-ESDを使った後に他のフィラメントを使うときは注意が必要!

PETG-ESDは導電性を得るためフィラメント内にコンパウンドである黒色のカーボンナノチューブが含有されています。

このコンパウンドがノズル内部に固着するため、白色のPLAやABSを造形する際に固着したコンパウンドが混ざり黒く変色してしまいます。

ノズル内部に残ったPETG-ESDの樹脂が造形中にPLAと混ざっています。

対策にはPLAまたはABSフィラメントをロードしてノズル内部に残ったPETG-ESDの残留物が無くなるまでパージする必要があります。(パージに使うフィラメントは色の変化がわかりやすい白色がおすすめです)

オーバーハング80°の造形テストに挑戦!

樹脂の造形性能を確認するためのモデル

樹脂の造形性能を確認するためのモデルを造形していきます。

樹脂の造形性能を確認するためのモデル

オーバーハングは最高クラスの80°までサポート無しで垂れ落ちることなく造形ができPLAに近い造形安定性が伺えます。

今回紹介したRaise純正ESD-PETGの造形に使用するテンプレートはOFPのページにてダウンロードが可能です。
Raise3D OFP

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