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レジンタンクのケアでトラブルを未然に防ぐ

2024.08.02

Raise3D DF2で使用される材料のレジンはFFF方式のフィラメントと比べてデリケートで管理が難しい物になります。
今回は造形を行う前準備としてレジンの状態チェックとレジンの保管方法、レジンタンクの状態確認方法について紹介します。

 

レジンをよく混ぜておく

光造形で使用する材料のレジンは使用する前に成分が均一になるように混ぜる工程が必須になります。

画像はRigidレジンを投入したレジンタンクです。
目視でも分かる程に液体が変化しているのが分かります。
DF2に限らず全ての光造形で使用されるレジンの多くは放置していると時間の経過(1~2日程度)とともにレジン内部の顔料とレジン成分が分離し始めて顔料成分は沈殿し上面には透明なレジン成分が浮いていきます。

レジンタンク内で分離した状態のレジンは付属のシリコンヘラで液体の色が均一になるまでよくかき混ぜます。
※シリコンヘラは市販の調理用でも代用可能です。

新品未開封のレジンボトルをレジンタンクに投入する際も事前によく振り成分を均一にしてから投入する必要があります。

 

レジンの気泡を取り除く

よく振って混ぜたレジンは気泡を大量に含んでおり、気泡を放置したまま造形を行うと造形物に気泡による穴や空洞が発生してしまうケースがあります。

レジンタンクに残った気泡を抜くにはタッチパネル上の設定にある「チャンバー加熱」をタッチし下のシークバーで40℃に設定し30分ほどレジンを温めます。温めるとレジンの粘性が下がり、自然と気泡が抜けやすくなります。

※注意
チャンバー加熱でレジンを十分に温め終わった後は必ず機能をオフにしてください。

庫内温度が高い状態で造形を行うと造形物が軟化し変形や造形不良の原因となります。
造形中のチャンバー加熱は特殊なレジンまたは低温環境下でヒーターを必要とする場合のみで使用してください。

手早く気泡を除去したい場合はヒートガンやドライヤーを使うのも有効です。
動画の様に軽く温風を与える事で簡単に気泡の除去が可能です。

※注意
使用する際はレジンの飛散させない様に風力が一番低い設定且つ、ヒートガンの場合は一番低い温度設定で行うようにしてください。ヒートガンで暖め過ぎるたり熱を近づけすぎるとレジンタンクの容器が変形するおそれがあります。

 

レジンをDF2から外して保管する場合

異なるレジンを使う際に入れ替わりで外したレジンタンクは付属のフタを被せて保管することが出来ます。
DF2本体から外したレジンタンクは高温多湿な場所を避け、直射日光の当たらない冷暗所で保管する事をお勧めします。
保管できる期間の目安はおよそ1~2週間程度で再び使用する時は必ずレジンを入念にかき混ぜるようにしてください。

 

残ったレジンをレジンボトルに戻す

Raise3D DF2純正のレジンタンクには注ぎ口が付いており、一度レジンタンクに投入したレジンを再びレジンボトルに戻すことも可能です。

レジンは揮発性の物質である為、レジンタンクにカバーを被せて保管するよりも密閉されたボトルに封入しての保管が比較的長持ちします。

※注意
レジンを注ぐ際には一度に流そうとせず少しずつ注ぐようにしてください。
レジンが多く残った状態で大量に注ごうとすると注ぎ口以外の場所からレジンが溢れてしまう場合があります。

 

レジンを戻す時はストレーナーの使用が理想

レジンタンク内のレジンをそのままボトルに戻すことも可能ですが、ストレーナーを使用してレジンを濾しながら戻すことをお勧めします。

長期間レジンタンクを使用しているとタンク内にはチリやホコリ、硬化したレジンの破片などが混入していることがあります。

チリやホコリが混ざっているとモデルと一緒に硬化されてしまう他、レジンの破片が残っていると造形中のUV光が遮られてしまいモデルが部分的に欠損する造形不良が発生することがあります。

また残ったレジンの破片はレジンタンクのFEPフィルムにキズつけてしまい最悪の場合、フィルムを破いてしまう可能性もあります。これらの理由からレジンボトルに戻す際にはストレーナーの使用をお勧めします。ストレーナーはDF2本体の購入時に数枚付属していますが、追加で購入する場合は市販の塗料用ストレーナーでも問題ありません。

 

レジンタンクのフィルムをチェック

レジンタンクは基本的に消耗品となり、造形を重ねるごとにレジンタンクに張り付けられた透明なnFEPフィルム部分がシワの様に伸びていくことで劣化していきます。

フィルムの劣化はレジンの種類、モデルの形状など様々な理由によって変化することから一概に何時間の使用に耐えられるという保証ができません。

DF2本体のMagicLayoutにはフィルムのエリア使用頻度を視覚化する機能がありますが、これはレジンタンクのRFIDに記録された造形履歴から使用した造形エリアを統計して表示している為、実際にフィルムが摩耗しているかまでは判別することができません。

 

フィルム表面を硬化させて状態を見る

レジンタンクのフィルムの摩耗状況は先に紹介したレジンタンク内のレジンをボトルに戻す工程の後に見ることが出来ます。
レジンボトルにレジンを戻した後、僅かにレジンが残った状態のレジンタンクをDF2本体にセットします。

レジンタンクをセットしたら扉を閉めてDF2本体タッチパネルのホーム画面右側にある「残留物をクリア」をタッチし「OK」を選択します。

OKを押すと60秒ほど造形エリア全面にUV照射が行われ、レジンタンク底のFEPフィルム面に薄いフィルム状の造形物が生成されます。

造形物はレジンタンク底に張り付く形で生成されているので外す際は付属のピンセットなどを用いてフィルムを傷つけないように剥がしていきます。

硬化した部分を剥がした状態のレジンタンクです。
造形範囲のみが硬化される為、造形エリア範囲外のタンクの端部分には未硬化のレジンが液体のまま残ります。

画像の白い模様はレジンタンクの摩耗が進んでいる状態です。
グリッドの様な白い痕は連続的にサポートを造形した部分になり、それ以外はモデルを造形した痕になります。

この状態でも問題無く造形は行えますが、新品の時と比較すると造形物の積層に線の様な痕やオレンジピールと呼ばれる積層荒れが発生する場合があります。

摩耗したレジンタンクは新品に交換するのが理想ですが、MagicLayout機能を使って摩耗したエリアを避けて造形することで使い続ける事も可能です。

 

最後に

光造形で使用される材料のレジンはFFF方式のフィラメントと比べて取り扱いが難しく成分が分離しやすいことから、こまめに状態をチェックし攪拌などで成分を均一に整えておく必要があります。

また、レジンタンクは最も消耗しやすく特にタンク内のnFEPフィルム部分は造形中、レイヤー毎に剥離を繰り返す関係から徐々にフィルムが伸びて劣化していきます。

造形品質が悪くなってきたなと感じたら一度フィルムの状態を確認し、使用頻度の低い造形配置を変えてそれでも改善しない場合はレジンタンクの交換をお勧めします。

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